両槻会(ふたつきかい)は、飛鳥が好きならどなたでも参加出来る隔月の定例会です。 手作りの講演会・勉強会・ウォーキングなどの企画満載です。参加者募集中♪






 第57回定例会に向けて
                 


橿原考古学研究所 鈴木一議先生
(16.5.27.発行 Vol.243に掲載)


「自己紹介」

 私は、東北の出身で、関東の大学で考古学を学び、幸いにも奈良で考古学に携わっています。徐々に東から西へ流れてきたわけです。自己紹介も兼ねて、なぜ奈良に来たのか振り返ってみたいと思います。

 いつから考古学の職を目指しはじめたかは、自分でも定かではありませんが、小学校の高学年あたりからは、ぼんやりと思っていたかもしれません。しかし、中・高は部活中心の生活を送り、特に考古学を意識した生活は送っていませんでした。改めて意識したのは、どの大学に行こうかと考えた時でしたが、その時も考古学の仕事の内容もあまりわからず、大学に行ってから考えようという程度だったと思います。そんな気持ちで選んだ先で、恩師に巡り合うことができたことが、今につながっています。

 私の行った大学では、毎年夏休み期間に発掘調査をおこなっていました。その当時、関東では大学単位の発掘調査は、一時期に比べかなり減少していました。もちろん、大学で調査をおこなっていることは、入るまでまったく知りませんでした。私は、結果的に7年間大学にいたのですが、毎年調査に参加することで、発掘調査の楽しさ、考古学のおもしろさを知ることができました。私の発掘調査好きが、このときに形作られたことは確かです。

 さて、私は考古学のなかでも、歴史考古学を専門に勉強を続けています。このきっかけも、発掘調査にあります。大学の調査に出る前、高校時代の親友のつてで、宮城県多賀城市にある多賀城跡の調査に参加し、それが歴史考古学を学ぶきっかけとなります。大学の調査では、長野県千曲市にある古墳を毎年調査していたのですが・・・。夏休み期間の前半は多賀城で発掘、後半は長野で発掘という生活を3年続けました。

 進学してからは、先輩のつてで、藤原京の調査に携わることができました。これが、私がはじめて奈良で参加した調査となります。それから3年間は、奈良と長野で発掘する生活を送りました。奈良に行きたいと思ったのも、発掘調査がきっかけです。今思えば、夏休み期間が3ヶ月近くもあり、集中的に調査に参加することができたことは幸運でした。

 その後、運よく今の職場に嘱託として採用され、さらに運よく正職員に採用され、今に至ります。このような流れで、いつの間にやら奈良に来たわけです。振り返ってみると、そのきっかけは、常に発掘調査にあったことがわかります。実際に調査に携わり、じかに学び、何かを感じたことが、今につながったわけです。

 職場では、これまでに縄文、弥生、飛鳥、奈良、中・近世と古墳時代を除いた各時期の遺跡の調査に携わってきました。もともと飛鳥での調査に強い希望を持っていましたが、調査に携われるようになったのは、ごく最近です。ご存知の通り、奈良の遺跡はどれも一級品です。これまで携わってきた様々な時代の遺跡の調査で得た経験が、今の基礎となっていることは、疑いありません。ちなみに、私の職場には古墳時代の専門家が多いので、私に古墳時代の調査が回ってくることは、よっぽどのことがない限りないでしょう。

 このように、奈良に来るまでのこと、来てからのことを振り返ってみました。長く日本の中心であった奈良にある遺跡は、どれも重要な情報を含んでいるといえます。今の私の課題は、携わった遺跡の情報をいかに整理・検討し、明らかにしていくかというところにあります。そして、今後の課題としては、それをいかに研究につなげていくかというところでしょう。

 長々と取り留めのない文章になってしまい、申し訳ありません。当日は、何卒よろしくお願い致します。






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