田村薬品工業内藤原京薬草園入口付近 |
「五月晴れ」と言うよりは「夏日」と言った方が似合う晴天に恵まれ参加者全員、時間通りに御所駅に集合しました。何と一番遅くになったのがお弁当屋さんの配達でした。それでも予定の時刻に間に合い定刻の出発となりました。
御所駅を出て南に少し行ったところから小川の土手沿いに西に伝います。この小川は葛城川の支流で柳田川と言うそうです。桜並木が続き花見時期には満開の桜に飾られていたことでしょう。今は5月、川のところどころに大きな鯉のぼりが川を横切って飾られていました。また川の真ん中に人工的に島を作り鴨やアヒルを飼っている光景も目にしました。
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大正中学校を左手に過ぎて川を横切るように左手に折れると、楢原の集落に出ます。この道をどんどん真っ直ぐ進む訳ですが、この道は高野山に続く「高野街道」ではないかと言われましたが、右手に葛城山、金剛山、左手奥の方に多武峰を臨む景勝の地にあります。村の外れから少し行くと右手に「九品寺参道」の石塔が見えます。九品寺には帰りに寄りますが浄土宗のお寺です。出発から44分、道路脇の電柱に「田村薬品工業
(株)」の標識が見えました。今回の第一目的地です。 |
ふと右手を見ると4m位の切り立った芝の上に「人に緑 心に花」の標語が見えました。心豊かに環境に優しくといった意味でしょうか、面白い標語だと感心させられました。そこから歩くこと約3分で右手に大きな「田村薬品ビル」が見えます。道路側からは
「TAMURA」の字が漢字に変わって掲げられています。いよいよ「田村薬品工業(株)奈良工場」に到着です。当日は土曜日だったのですが、連休明けの土曜日は出勤になっているそうで、幸運なことに社員の方3人で両槻会一行の面倒を見ていただきました。
藤原京薬草園付近から(下見時撮影) |
ここでトイレ休憩、田村薬品さんの社内のトイレを使わせて頂くことになりました。驚いたことに社内へ入る者は全てマスクをするようにとのことで、トイレに行った人たちには全てマスクが配られました。トイレから帰ってきた人たちが一様に驚いていたのは、従業員の方々の礼儀正しさでした。「見ず知らずの私どもにも、ちゃんと笑顔で挨拶してくれた。」と最初から好印象を与えて下さいました。いよいよ、工場裏手にある
「薬草園」に案内して貰うことになりました。
小川に「水芭蕉」「山葵」の立て札のある橋を渡り園内に進みます。奥まったところに「恵樹庵」と称する庵があり、ここで社員の方から会社の概略説明を受け、自社製品である「イソビタンAU」(医薬品外)と「ジキロングZ3000」(医薬品)の2種類の栄養ドリンクを試供して頂きました。説明を受けた会社概要の概略は次の通りです。
田村薬草園恵樹庵にて |
田村薬品工業は其の前身を「亜細亜薬品商会」と言い昭和9年に発足しました。昭和23年に「田村薬品工業」となり現在に至っています。医薬品、健康食品、衛生医療品等を製造販売している会社です。従業員は工場内に150名、北海道、東京、大阪に50人ほどのスタッフがおり、合わせて200名ほどの社員構成となっています。薬草園は昭和55年に開園、2万uの土地に約550種の薬草を栽培、育成しています。
会社の紹介も終わり、ここで昼食を取らせていただきました。その後、班を2班作りPさん、笑いネコさんがそれぞれを誘導説明することになりました。出発前にPさんから各自に「丁子」(チョウジ)と「クコ」という実のサンプルが配られました。皆さんお土産に大切に持って帰りました。其の他にも沢山のサンプルが回覧され、事前勉強していない筆者にしては良い勉強となりました。尚、丁子をお茶を入れる袋などに入れて、ゴキブリの出そうな所に置いてやると丁子の匂いでゴキブリが寄り付かないと言う事です。
薬草園内 |
いざ現地説明が開始されました。草花の「く」の字も分からない筆者には、どこかで聞いたような名前くらいにしか、ついて行けませんでしたが、詳細に関しては笑いネコさん、Pさんの資料をご参照下さい。筆者と同じ仲間は居るもので、Pさんがキキョウのことを「キキョウは韓国語でトラジと言います。歌にあるトラジです。」と説明しているとき「トラジって韓国語でお父さんのことじゃなかったっけ?」言う仲間がおりましたが、Pさんから即座に「それはアボジ!」と言われ一同爆笑してしまいました。筆者が印象に残ったのは「ツタンカーメンの豆」と言われる紫色をしたえんど
う豆を大きくしたみたいなものでした。何せ紫色の豆なので視覚的に驚いた次第です。我々のグループに付いて周って頂いた田村薬品の社員の方が、その豆を千切りとって下さり中身を見せて下さいました。中は綺麗な緑です。そして生の豆の試食もさせて頂きました。味は、、、普通の豆だったです。そこでPさんから、こんな説明がありました。「皆さん、大麦と小麦の違いをご存知ですか?大と小に分けているのはその利便性からなんです。大のほうが利便性がある。小豆と大豆にしても同じことです。」妙に納得しました。そんなこんなであっという間に見学説明会は終了してしまいました。
薬草園内 |
薬草園を一度出て、少し離れたところに「藤原京薬草園」と言うところが別に設けてあります。そちらに移動しました。藤原京跡から出土した木簡に記されていた薬草類をこの地で再現したものです。草木なら何でも食べてみたんだなあって言う気持ちになります。誰かが笑いネコさんに「毒が入っているのか、薬になるのかどうして分かるのだ」といった質問をされ、笑いネコさんから「基本的に、ほとんどの生薬が有毒成分を持っています。毒にも薬にもならないって言葉があるでしょう。要は分量です。」と言われ『成る程な』と感心した筆者でした。2時に薬草園での説明会を終え帰途に着きました。
薬草園そのものの場所が「一言主神社」に近いことから、帰途はそちらに寄ることとなり、朝、御所駅を出発してから一服もさせて貰えなかった愛煙家たちは、競って神社の外での一時を楽しむことが出来ました。一言主神社は一言主神と雄略天皇を祭神として祀ってあることで有名ですが、その他にも大銀杏があり、その銀杏が所々乳房の形をしていることから「乳イチョウ」として親しまれています。そこから千体石仏で有名な九品寺へと周りました。道すがら室の宮山古墳が遠望できる箇所があり、そこで風人さんより古墳の説明がなされました。全長238mの前方後円墳で葛城一族の有力者の墓であろうとのこと
です。被葬者の候補には「武内宿禰」も入るそうです。九品寺は行基が開祖といわれる古刹ですが、南北朝時代後醍醐天皇の南朝方に味方した楢原氏の菩提寺と
しても有名です。九品本寺ではその時代の勢力争いをsachiさんが説明してくれました。千体石仏は戦に出かける楢原の兵士たちが、明日をも知れぬわが身の代わりに祀ったそうです。九品寺を出て、最後はアジクさんから済世会御所病院敷地内にある鴨都波1号墳(方墳)の説明を受け、今回の定例会を終えまし
た。この古墳は古墳時代前期の存在を証明する貴重な発見だそうです。
一言主神社乳銀杏 |
九品寺本堂越しの畝傍・耳成山(下見時撮影) |
追記;九品寺の境内にある十徳園と言う池泉回遊式庭園も美しく有名ですが、今回筆者が回っていたとき突然大きな羽音と共に5cmはあろうかと思われる黄色スズメバチが現れました。幸い襲われることはありませんでしたが、近くに巣があることが伺えます。これから訪れる方は十分注意して下さい。
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