芋峠付近
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特別回 旧道芋峠越宮滝行 若葉さん
生憎の雨の中、初参加の方お一人をお迎えし、飛鳥駅からは九名のスタートとなりました。
特別回でありましたので、資料は無しという事だったのですが、事務局長の悪い癖‥ いえ、きっちりとしたご性格の為、資料の他いつもの参加証などもゲット出来たのでした。感謝!
バスで石舞台に向かい、風舞台でお二人の参加者と合流。雨対策の合羽・傘などを装備し、いざ出発! いつものように早めのペースでどんどん行きます。
雲をまとった山々が美しく、雨の日ならではの風景が撮れるとあって、一人がカメラを向けるとぞろぞろ撮影会になります。若葉マークカメラマンの私も気持ちをそそられますが、荷物も多く、濡らしてはならぬのでもうちょっとガマン。そんな私の為に雨は小雨となり、傘もいらなくなって行ったのでした。
以前の定例会で巡った男綱や女綱は綱が川に架かるだけとなり、静かに一ヶ月後の新調の時を待っているようです。
加夜奈留美命神社で小休止の後、いよいよ旧道の方へ向って行きます。
紅葉は盛りを過ぎていましたが、山々の杉の緑に暖かな色合いのパッチワークを見るようでした。
いきなり始まった旧道の坂を、前の方に遅れないよう足元に注意をしながら登って行きます。事務局長を先頭に、芋峠経験者の常連参加者をしんがりにどんどん行きます。
道のすぐ横が崩れている所を通ったり、倒木を跨いだりくぐったりしながらひたすら前進を続けます。時折、事務局長の注意の声や励ましの声が後ろにいる私達の所にも聞こえてきます。昭和の始めまであったという三軒茶屋跡の石垣は、すっかりシダで覆われ、教えてもらわないと気付かないほどでした。
ずっと足元ばかりを注意しながら歩いてきましたが、急にポコッと現在の芋峠に出ました。旧の峠は舗装道路を造る為に削られ、もともとはその上空辺りにあったのだそうです。ひたすら歩いたので、思ったより早く着いたように感じました。(行き先は宮滝ですけど‥)
舗装された峠を越えた辺りから白い霧の中を行きます。 とっ!風人さんどこ行くの?姿が下に見えなくなったと思ったら、千股へ向う古道の入口でした。すごい下りなんですよ!ここで雨が降らなくて良かった〜。(雨ならルート変更です。) 持統さん達もここを通ったのかな? 馬も輿も無理でしょうから歩いてもらいましょう。
先日の台風?の為か、土砂や木の枝などで一部乱れた『千股せせらぎ公園』で昼食を取り、千股の町を行きます。山間にあるぽっかり開けた土地で、名前からうかがえるように各方面に向う道が集まっている場所だそうです。来た道を振り返れば、山々の頂をまだまだ雲が隠していました。
上市に入ると昔の賑わいを思い起こさせるような町並みが続き、懐かしいようであったり、物珍しかったりしたのでキョロキョロしながら歩いて行きました。旅籠『角屋』のたたずまいや、小児科・内科の立派な看板。このまま通り過ぎるのはあまりにもったいない‥ 参加の方が「ここは美味しい!」と、お勧めのやき餅屋さんは残念ながらもう売り切れていました。(聞いたんかい‥) もっと探索をしたい魅力ある町でした。
吉野川に臨む『大名持神社』の下で、ここから参加の事務局員が二名出迎えてくれました。空はいつの間にか晴れ渡り、合羽のズボンを重ねはいた格好は何ともおかしな感じとなっていました。
ここでお一人がお帰りになりました。とってもお疲れ様でした〜♪ これに懲りずにまたのご参加をお待ちしております。
残りのメンバーはあと約4kmのラストスパ−トです。
先程から参加した元気な事務局員を先頭にどんどん行きますと、川の様子が急に変わってきました。いかにもこれぞ景勝地!という感じです。
残念ながら水量が少なく、浮んでいる落ち葉の流れる様子もありませんでしたが、山の紅葉をとてもキレイに映していました。
飛鳥から歩いて行ける所にこんな観光地‥いや、風光明媚な場所があれば、天武さんとの思い出なんて関係なく、何度でも、やれ避暑だ♪紅葉狩りだ♪と私なら行きたいぞ! ‥などという呑気な観光客と違い、危機感を持ち、これからの時を見据え、情報集めや準備に心休まる事はなかったのでしょうね。その壮大なロケーションの中で、壮大な計画を立てる気持ちがいよいよ増して行ったのでしょうか。天智の余命が少ないという情報も入っていたでしょうから、始めから勝算のある前向きな宮滝行きだったのではないかと思ったりするのは、お気楽な観光客だからでしょうか。
そんな彼等の思いも今は遠い昔となり、山間の町にはお醤油造りの良い香りと静かな時が流れていました。
千股より吉野の山々
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大名持神社と言う神社 TOMさん
大名持神社と言う神社があります。そこで芋峠を越えてきた皆さんと合流しました。この神社は延喜式神名帳によると、大和国吉野郡十座の一つとして金峰神社とともに名神大社に列せられ正一位を賜っている格式の高い神社です。芋峠越えを参加せずこの神社で皆さんを待ち受けていた次第ですので、今回は峠越えの感想などを書ける立場にありませんが、驚いたことに事務局長から感想を提出する旨のメールが届きました。
実は今回この大名持神社に行くに当たって、この神社のことを多少なりとも調べましたので、今回はその報告と言うことでご勘弁してもらいます。
「大名持神社」(おおなもちじんじゃ)珍しい名前です。でも何か「大己貴」(おおなむち)と似通っています。いや同一と考えて良さそうです。大己貴、即ち大国主命を祭神としている訳です。完全な出雲系の神社な訳です。祭神はこの他に須勢理比羊命(すせりひめのみこと)があります。須勢理比羊命は須勢理姫のことで須佐之男尊の娘で大国主のお嫁さんでもあります。もう一神、祭神となっているのが少彦名命(すくなひこなのみこと)で彼は大国主の国造りに協力した神様です。即ち三神とも出雲の神様です。そしてこの神社の裏山は妹山と言われる斧鉞(ふえつ)を入れることを禁じた忌み山とされています。ここまで来ると、どこかと似ているなあ、と思われるでしょう。そうです。三輪山と大神神社の関係とそっくりなのです。しかも位置的に明日香村を挟んで丁度北と南に位置しています。何らかの意図を感じざるを得ません。またこの神社は古くは龍門郷二十一か村の大社であったとされ、時の権力者(藤原家)にとっても重要な位置付けだったのかも知れません。
もう一つ、この神社の前付近の吉野川で毎年6月30日に海水が湧き出ると言う伝えがあり、今でもその日にお参りすると言う「大汝詣」(おなんじもうで)が
あります。実際に海水が湧くのか、大阪湾と熊野灘に挟まれた丁度真ん中の山地までどちらの海水も来るとは思えませんが、その言い伝えは何処から来るのでしょう。恐らく少彦名命が海からやって来たことに由来したものかも知れません。
そんなことを考えながら1時間少し辺りをうろうろしている内に、風人さんから「全員無事下山」の報が入り、そこから元気に下山された皆さんと宮滝までご一緒しました。皆さんお疲れ様でした。
大名持神社
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特別回「旧道芋峠越宮滝行」を終えて 風人
旧暦10月20日、大海人皇子一行は、飛鳥嶋宮から芋峠を越えて吉野宮滝に向かったとされています。同じ季節に芋峠を越えたことはありましたが、2009年は一日違いの旧暦10月19日が土曜日になることを知りました。壬申の乱を追体験するには丁度良い曜日の巡り合せなので、特別回としてウォーキングを実施することにしました。定例会常連の方々の中には、2月に「下ツ道ウォーキング
-遥かなり朱雀門−」で、27kmを歩いた方が10名近くおられます。両槻会として企画しても、同程度の方がご参加いただけるのではないかとの見込みを持っていました。定員10名+若干名ということで募集を開始しましたら、あっという間に15名の参加希望をいただきました。
体調不良でご参加を取り止められた2名の方と、連絡も無く来られなかった2人を除いて、11名+大名持神社から宮滝までの4kmだけを歩いた足弱な事務局員2名(^^ゞを合わせ、13名の参加者となりました。
天気予報は悪く、日中は90%近い降水確率でしたが、短時間の小雨に遭った程度で山道も無事に踏破することが出来ました。本当に良かったと胸をなでおろしています。大海人皇子一行には、女性や幼い皇子もいましたので、行程をリードしていた舎人達は宮滝到着と共に、風人同様にほっと深いため息をついたかも知れませんね。それも追体験です。(笑)
風人が昨年同ルートで宮滝に行った頃から、水量が減っていることに気付いていましたが、雨が降っていなかったからだと思っていました。しかし、今回も同様に、流れを感じることもない鏡のような水面でした。宮滝に住まれている方にお聞きしたのですが、上流にダムが出来たせいだとのお話でした。宮滝は、「たぎる瀬の宮処」です。たぎるような流れが無ければ、宮滝と呼ぶに相応しくはありません。ダムの賛否を安易に言うことはできませんが、歴史的な景観が一変してしまうのは残念でなりません。独特の緑色に見える水が滔々と流れる宮滝を、懐かしく思いました。
特別回は、それぞれの方が、それぞれの想いを持ってのウォーキングであったと思います。皆さんのレポートを読んで、改めてそう感じました。ありがとうございました♪
参加者の坂井さんがレポートで書いてくださった志賀を通るルートがとても魅力的です。津風呂湖畔(津振川)から矢治峠を越えて菜摘へ出るルートも、いずれ歩いてみたいと思っています。また、楽しいイベントを企画したいと思っていますので、今回はご参加いただけなかった皆さんも、次回は是非ご参加ください。
文末になりましたが、終始最後尾を歩いて隊列に注意を払ってくださったmiyauchiさんへ、事務局を代表しまして感謝の気持ちを表したいと思います。ありがとうございました♪
また、ぷーままさん、らいちさん、お二人の峠越えの経験者が参加してくださって、風人はとても力強いサポートを受けた心地でした。参加していただいた皆さん、ありがとうございました♪また、ご一緒に歩きましょう♪
芋峠
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