両槻会(ふたつきかい)は、飛鳥が好きならどなたでも参加出来る隔月の定例会です。 手作りの講演会・勉強会・ウォーキングなどの企画満載です。参加者募集中♪



飛鳥時遊録


 真神原風人飛鳥三昧



「今の時」と「古の時」
二つの「時」をテーマに自由に時を翔けめぐり、
今この時と飛鳥時代を結ぶ記事に出来ればと思います。

夏の花々
脇本遺跡と秋津遺跡
秋のはしり
飛鳥学冠位叙任試験 飛鳥版科挙
秋の三大特別展
飛鳥資料館の秋期特別展 講演会
色づきはじめた紅葉と奥飛鳥巡り
奥飛鳥滝巡り
長安寺薬師堂探検
10 年末のご挨拶


60号まで季節・時事記事は、こちら♪
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【1】 「夏の花々」       (11.8.19.発行 Vol.114に掲載)

 ご挨拶は、またまたこれです。お暑うございます。ふー!もうこの暑さは、勘弁して欲しいですね。夏ですから暑いのは構わないのですけど、35℃とか言われると、聞くだけで立ち眩みが起こりそうです。でも、空を見ると、時折うろこ雲が出ていたりしますし、朝夕の風は、何となくですが幾分涼しいような気もします。錯覚でしょうけど。(笑)

 さて、お盆も過ぎました。皆さんの夏休みは如何でしたか?今年は、長く夏期休暇を取っている会社も多いと聞きます。故郷へ帰省された方も居られるでしょうか。円高を利用して、海外旅行に出かけられた方も居られるかも知れないですね。
 風人の夏休みは、飛鳥遊訪マガジンや次回定例会に向けての資料作りに終始しました。はい!どこにも行かず、売れっ子作家並み(笑)の缶詰状態でした。ふー!

 このような状態では時遊録のネタも無くなるので(^^ゞ、近場に夏の花を求めてサイクリングをしてきました。暑かった!

 藤原宮跡に四季折々の花畑が作られているのを、ご存知でしょうか。コスモス畑が先行して作られていたので、ご存じの方も多いかもしれません。それに続き、朝堂院の南東に花蓮の畑が作られて、今年で2回目のシーズンを迎えました。面積は3,000平方メートルほどもあります。結構、大きな面積ですよ。唐招提寺蓮や古代蓮など11種類の花蓮が咲き競います。花期は、もう終盤にさしかかりましたが、もう少しは楽しめそうでした。

 藤原宮の花蓮(クリックで拡大)

 蓮に代わり、次に盛りを迎えるのが、醍醐池の西側の花畑にある黄花コスモスです。面積は7,000平方メートルあるとのことです。夏の青空の下で、風にそよぐ鮮やかな橙・赤・黄の花を楽しむことが出来ます。コスモスは、風に揺れるので写真を撮るには難しい花ですね。また、黄花コスモスは、先の花蓮の西隣にも植えられています。風人が行きました15日は、醍醐池西側ではぼちぼち、朝堂院南東ではこれから咲き始めるといったところでした。

 黄花コスモス(クリックで拡大)

 さて、藤原宮付近で最も有名な夏の花は、本薬師寺のホテイアオイです。今年は、近年に比べると早く見頃を迎えているようです。15日は、東側でほぼ満開でした。一株二株では、さほど綺麗だとも思わないのですが、これだけ数多く咲くと見事です。繊細な薄紫色が上品にさえ見えてきます。まるで花絨毯ですね。見学や撮影の方もたくさん来られています。橿原市の公式案内によると、本薬師寺跡周囲の水田1.4ヘクタールには、約400,000株が植えつけられているそうです。

 本薬師寺跡のホテイアオイ(クリックで拡大)

 暑い中ですが、皆さんも一度如何ですか?炎天下の藤原宮周辺もおつなものです。(笑) あっ!忘れるところでした。現在、藤原宮跡の朝堂院殿では、発掘調査が行われています。どのような成果が報じられるのか、とても楽しみですね。大きな成果が発表されたなら、飛鳥遊訪マガジンでもお伝えすることにしましょう。

 他の花もどうぞ♪ 藤原宮跡女郎花と本薬師寺の百日紅です。(クリックで拡大)

  藤原宮跡や本薬師寺の花々の開花情報は、こちらが便利です。
  「かしはら探訪ナビ」・花だより・開花情報

 さて、飛鳥の写真を菫さんが投稿してくださいましたので、ご紹介します。(クリックで拡大)

  ::菫さんのコメント:::: 

  7月31日。
  とにかく暑いので、この日撮った写真は、太陽がぎらぎらと照りつけ、草いきれでむんむんするような飛鳥になると思いました。でも撮った写真を見てみるとそれほど暑苦しくない。

 3枚は甘橿の丘からです。甘橿の丘からの眺望は、ふもとを霞ませぽっかりと浮いているような耳成山や、ふたかみと畝傍と連なる山々重なる山々が穏やかで静かで美しかったです。そのうちに、丘のふもとの○○池(名前がわからない)が、沈もうとする太陽の光を一つに集めて金色に輝き出した時には息を呑みました。(手前の)甘橿の丘の木々は全ての葉先に金色の玉を付けて光り出したようでした。(神々の世界を垣間見たのかと思いましたが、)丘のふもとには人間の営みの煙が立っていました。もう1枚は上居に上がる道沿いの里芋畑からです。遠景に畝傍、ふたかみをのぞみます。

 :::::::::::::::

 幾つかの地名のご質問がありましたので、事務局でお答えしました。文中にある○○池は、和田池です。
 菫さん、ご投稿、ありがとうございました。他の皆さんも、是非よろしくお願いします。簡単なコメントや撮影された時のエピソードなどを、添えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。



【2】 「脇本遺跡と秋津遺跡」             (11.9.2.発行 Vol.115に掲載)

 8月末は、停滞する活発な前線の影響で各地に豪雨の被害が出ました。皆さんのお住まいの地域はどうだったでしょうか。また、大きくて強い台風12号が接近しています。被害がありませんように、願っています。

 前号でお伝えしました脇本遺跡の現地説明会は、あいにくの雨天となりました。風人も傘をさしての見学になり、周辺部の散策もしてみようかと思って出かけましたが、断念することになりました。

 今回の脇本遺跡17次調査では、飛鳥時代の柱穴列が検出されました。柱穴は全部で14基でしたが、それを結ぶと柱穴列がコの字になることから、2重の柵か建物とみられています。柱穴は1.3m~1.5mと大きなもので、柱自体の直径は35cm~45cmでした。深さは、現存40cm~70cmでしたが、上部が耕作などで削られているようで、実際には1m近くあったようです。柱は、後に抜き取られており、現地では抜き取り穴の痕跡が見えていました。この柱穴列は、柱間が1.95m~2.5mとややばらつきがあることから、塀の可能性が高いとの指摘もあるようです。

 以前の調査で、西100m程の地点で正方位に同一線上に結べる柱穴列が検出されていることから、東西100mを超える一連の施設であった可能性が高いとのことです。この柱穴列の北側からは、3期(5世紀後半・6世紀後半・7世紀後半)の大型建物や塀が検出されており、施設の中心となる建物は、今回の柱穴列を南面とする北側の平坦な台地に存在するのではないかと考えられます。

脇本遺跡

 脇本遺跡といえば、雄略天皇の泊瀬朝倉宮や、昨年の調査では欽明天皇の泊瀬柴籬宮などが話題となりましたが、今回の調査では、「大来皇女の斎宮の関連施設か?」などとも報道されています。今回の発掘成果は、どのような歴史の場面を見せているのでしょうか。発掘調査は継続されて、今回調査区の西側の調査が秋から始まるようです。その成果の報告が待たれますね。

 脇本遺跡第17次調査現地説明会資料(橿原考古学研究所サイト内ページ)

 さて、脇本遺跡は面白い!と思っていると、またまた現説の情報が飛び込んできました。秋津遺跡です。残念ながら、この号が発行されたときには、現説は既に終わっています。タイミングが合いませんでしたね。

 秋津遺跡は、これまでの調査で検出された4世紀前期の巨大な方形区画群が興味深いのですが、最近では縄文時代晩期後半(2800~2500年前)のほぼ完全な形のノコギリクワガタが発見されたことでも注目されました。また、同時期の翡翠の管玉(長さ約4cm、太さ約2cm)が出土しており、色合いの特徴から新潟県糸魚川市周辺で産出した可能性が高い物であると考えられています。広範囲にわたる交易が行われた集落の存在が注目されます。現在、橿原考古学研究所附属博物館で展示されている管玉を見ましたが、かなり大きな物です。この時期のものとしては最大級とのことですので、集落の長やシャーマンの首飾りではなかったかとのコメントも出されていました。

 その秋津遺跡から、新たな調査結果が報告されました。方形区画群と同時期の竪穴住居跡が、その南側で20棟検出され、また方形区画内の掘立柱建物跡のうち8棟が、祭儀的な建物に特徴的な「独立棟持柱」を持つことが判明したと発表されています。竪穴住居跡と方形区画群の間には幅2mの溝があり、居住と祭儀の空間が明確に区分されていたようです。これまでの調査では、北側にも竪穴住居が確認されており、方形区画を中心に広がる大規模集落の様子が分かってきました。古代豪族葛城氏との関連も興味深いですね。

 秋津遺跡

 秋津遺跡第5次調査 現地説明会資料(橿原考古学研究所サイト内ページ) 



【3】 「秋のはしり」          (11.9.16.発行 Vol.116に掲載)

 台風12号は、近畿南部を中心に大きな被害をもたらしました。被災された皆さんに、心よりお見舞いを申し上げます。
 飛鳥地域では、特別重大な被害は無かったようです。それでも雨は降り続き、飛鳥川も氾濫まではしなかったようですが、台風の翌日、風人が飛鳥を訪れた時には、飛鳥川は濁流と化して、轟々と音を立てて流れていました。周辺の山々にはかなりの降雨があったようです。
 皆さんのお住まいの辺りは、如何だったでしょうか。

 さて、風人は、9月10日に、第28回定例会の散策コースを歩いてきました。事務局の下見には参加できませんでしたので、歩いておきたかったのですが、台風一過の戻ってきた真夏日に汗だくのウォーキングになりました。なんでも33℃程もあったとか。炎天下の直射日光の下では、もっと気温も高かったのでしょうね。日焼けした腕や顔が、今でも赤く残っています。定例会を行います23日は、過ごしやすい気温になってもらいたいものですね。

 檜前地域は彼岸花が多いのですが、今年はキトラ古墳周辺の整備事業のため、彼岸花は残念ながら大幅に数を減らすことになるようです。公園化も良いのかも知れませんが、残念な思いもあります。これも飛鳥の素顔ですので、定例会ではありのままを見ていただければと思います。コースの後半になりますが、弥勒石や石神遺跡付近では、早咲きの彼岸花がポツポツと咲いていました。今年の咲き具合は、どうでしょうね。気がかりなところです。

彼岸花

 定例会では、時間に余裕があれば、少し寄り道なども出来ればと思います。お天気にもよりますが、約8キロのコースは、快適な飛鳥散歩になることでしょう。どうぞ、ご期待ください。また、今回はご参加いただけなかった方も、ルートマップを見ていただき、いつか歩いていただきたいと思います。どの季節にでも、散策には良いコースですよ♪

 風人は、財団法人:古都飛鳥保存財団から「飛鳥応援大使」を委嘱されているのですが、そのボランティア活動の一環として、飛鳥駅前の美化作業の手伝いをしています。10日は、除草作業と、その作業に参加されている各団体(近隣地区の皆さんや高取国際高校の皆さんなど)が手作りされた案山子を設置してきました。稲渕の棚田の案山子は広く知られるよう
 になりましたが、その導入部分として、飛鳥駅を降りられた皆さんに楽しんでいただければと思います。雑草を刈りましたので、すっきり綺麗になっていますよ♪そうそう、彼岸花も植えていますので、お楽しみ下さい。

 飛鳥情報のコーナーに掲載するほどには詳細なお知らせは出来ないのですが、現在、飛鳥中心部では2ヶ所の発掘調査が行われています。一つは、飛鳥京跡苑池遺構です。南北2つの池がありますが、その南池の東岸を調査しているようです。もう一つは、飛鳥寺西方遺跡の南端近くの位置になります。飛鳥寺の南の石敷き遺構と交わる辺りが調査区となっていますので、槻の木の広場と飛鳥寺南の空間が、どのように関連付けられるのかが分かるかも知れませんね。
 両発掘調査共に、その成果が楽しみです。現地説明会のニュースを、飛鳥遊訪マガジンでお伝えできる日が待ち遠しく思います。



【4】 「飛鳥学冠位叙任試験 飛鳥版科挙」           (11.10.14.発行 Vol.117に掲載)

 一回発行をお休みさせて頂きましたので、4週間ぶりになります。その間に、飛鳥はすっかり秋の装いになっています。実った稲穂が、黄金色に輝き、稲の香りが満ちた遊歩道には、レンタサイクルで走る観光客の方やウォーキンググループの姿がたくさん見られるようになりました。飛鳥に活気が戻ってきたように感じます。おそらく週末には、稲刈りも始まるのではないでしょうか。秋が益々深まっていくことでしょう。
 ウォーキング・サイクリングには、絶好の季節になります。どうぞ、飛鳥に足を運んで下さい。

 飛鳥情報のコーナーでもお知らせしていますが、各資料館・博物館で秋の特別展示が始まりました。どれも、飛鳥の魅力を充分に堪能できる内容になっています。橿原考古学研究所附属博物館・飛鳥資料館・万葉文化館の展示は、今年は特に力が入っているように思います。お勧めですよ♪ それぞれには、講演会などのイベントも企画されていますので、スケジュールを組んで見逃さないように、聞き逃さないようにしたいものですね。

 また、飛鳥資料館では、秋期特別展関連イベント 「みんなで歩く・見る・たべる-飛鳥のいろんな至宝たち-」が開催されます。1回目の実施は、メルマガ発行の翌日になりますが、2回目は11月19日に実施される予定です。奥飛鳥の魅力に迫る企画ですので、なかなか一人では踏み込めない奥飛鳥を知る良い機会ではないでしょうか。風人も、明日15日に参加申し込みをしています。

 さて、9日には、飛鳥学冠位叙任試験 飛鳥版科挙が行われました。平たくいえば飛鳥検定ですね。クイズラリー形式で行われたこの催しには、200名の参加があったそうです。やはり、飛鳥には魅力を感じる方、自分の知識を試してみようと考えられる方がたくさん居られるようです。
 試験は、明日香村内に設けられた8ヶ所のポイントを巡りながら、飛鳥に因んだ問題を解いてゆきます。風人もそのポイントの一つで、問題を配布するお手伝いをしていました。参加の皆さんは、難問に頭を抱えながらも、秋晴れの飛鳥を楽しまれているようでした。

 両槻会で行いました「飛鳥検定1・2」とは、また違った実施方法でしたので、新鮮な気持ちでお手伝いをしたのですが、点数を競うというより飛鳥を楽しむ一つの手法として参加されるのが、より楽しめる方法ではないかと思いました。2回・3回と回を重ねて実施されるようですので、皆さんも来年は参加をご検討されては如何でしょうか。

 両槻会「飛鳥検定1・2」も、ネット実施を続けていますので、是非チャレンジしてみてください。
 


【5】 「秋の三大特別展」                (11.10.28.発行 Vol.118に掲載)

 飛鳥では、ほぼ稲刈りも終わり、景色は秋の深まりを感じさせます。


 しかし、気温は高めの日が多く、25℃近くまで上がる日も多いようです。日中の陽射しの中では、まだ半袖Tシャツで散策されている方も見かけるほどです。

 さて、風人は先週末の休日を利用して、飛鳥情報などでも度々ご紹介してきました飛鳥地域で開催されている3つの特別展示を見学してきました。その観覧記というほどではありませんが、風人流にご紹介したいと思います。

 まず、飛鳥資料館の「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」です。飛鳥地域に伝世され、あるいは出土したものの、様々な理由で飛鳥を離れて保存されている「宝」が一堂に会しています。展示品は、特別展示室をはみ出して、講堂や普段は使われないスペースも使って展示されています。風人は、ギャラリートークと合わせて見学しただけですので見残した物もあるのですが、一番印象に残ったのが古宮土壇から発見された「金銅四環壺」でした。宮内庁に保存されているために、今まで不鮮明な写真でしか見たことがなかった物です。大きさや質感を、本物を目にして初めて実感できました。鳳凰の絵が描かれているそうですが、それは肉眼では分かりませんでした。ただ、上部に唐草文のように見えたのですが、模様が刻まれているのが見えました。他には、やはりポスターや図録の表紙にもなっている「法隆寺献納宝物四十八体仏」と呼ばれる小金銅仏でした。仏像美術などとんと無縁な風人ですが、それでも魅せられました。また、歴史好きの者には、ゾクゾクさせるような背面の「山田殿像」の銘文や、台座の蓮華文様に火焔文が入っていたりと、なにやらワクワクさせられたのであります。川原寺裏山遺跡の「涙を流す迦楼羅像」も出展されていましたが、これはもう少しライティングを考えて欲しかったなと。(^^ゞ

 万葉文化館の「大飛鳥展」も見どころはいっぱいありました。ゆったりとしたスペースに展示されているので大変見やすく、一品一品をゆっくり鑑賞できました。ただ、美術展示なので、解説が無いのは、風人のような
 美術品門外漢にはやや物足りないところであります。こちらでは、やはり法隆寺の国宝「夢違観音像」でしょう。また、野中寺の「弥勒菩薩半跏像」、粟原寺の「三重塔伏鉢」などが特に印象に残りました。また、明日香村指定文化財の長安寺薬師堂蔵の四天王立像や薬師如来像、また鎌足像も印象深い物になりました。実は、飛鳥好きを自認する風人が、長安寺薬師堂の
 所在を知らなかったという衝撃もあったのですけど(^^ゞ、良い勉強をさせていただきました。風人は、聖徳太子に関連する伝承の井戸が在るとされるので、お堂には行っていたのですが気付かずにいました。知識や興味の対象が偏っていると、こんなことになります。反省。(^^ゞ

 さて、最後は橿考研附属博物館の「仏教伝来」です。展示室に入ってまず気付いたのは、お香の香りでした。香が展示品として置かれているのですが、その香りが漂っているようでした。雰囲気出しています♪ 展示品では、まず男前なガンダーラ仏に目が止まります。他には、古代瓦が多く展示されており、両槻会定例会で学んだ瓦の知識が役立ちます。実物を見るとより分かりやすいですね。風人には見たことのない瓦も有り、楽しく見学が出来ました。丈六南遺跡の蓮華文鬼瓦がシンプルで風人好みでした。(笑)他には、堂内の荘厳と供養具として、センや舎利容器の展示も興味深いです。皆さんも、是非3つの特別展を巡ってみてください。きっと満足されると思います。

 菫さんから投稿がありましたので、ご紹介します。

 さざめくいちめんの稲穂の向こうには甘橿の丘と耳成山、天香久山が見えます。右端の丘陵手前は宮殿の井戸跡があるところで、この日は、彼岸花で飾られていました。(撮影日は、2010年9月25日とのことです。)

 手前の畦に彼岸花の咲く飛鳥の田園風景です。稲田の果ての正面やや右が役場の辺り、右端の建造物は橘寺です。橘寺は、飛鳥では、案外いろいろな所から見えることに気づきました。(撮影日2011年9月23日 第28回定例会当日ですね。)

(撮影日 2011年9月24日 畑七曲展望所付近から)




【6】 飛鳥資料館の秋期特別展「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」講演会  
                                  (11.11.11.発行 Vol.119に掲載)

 11月も中旬に差し掛かりますが、暖かい日が続きますね。日中など、速歩で歩いていると汗ばむほどです。今年の紅葉は、どうでしょうね。季節が一昔前のようではないのを感じてしまい、何かしら不気味な心持ちになります。風人は、四季折々の季節を味わいたいと思うのですが、皆さんは如何でしょうか。と原稿を書き終わったとたんに、晩秋らしい冷え込みがやって来ました。(^^ゞ 季節ネタは難し!(笑)

 さて、明日は第29回定例会の開催日です。参加していただく皆さん、よろしくお願いします。原稿を書いています当日は、まだ準備の真最中です。楽しい一日になりますように、スタッフは奮闘努力を続けています。

 飛鳥では、11月5日・6日と続けてイベントがありました。まず5日は、藤原宮朝堂院朝庭の発掘調査(飛鳥藤原第169次発掘調査)の現地説明会でした。詳しくは、あい坊先生が特別寄稿として詳細な解説をして下さっています。是非、じっくりとお読みください。速報性のある記事を読者の皆さんに提供出来、スタッフも大変嬉しく思っています。あい坊先生に、深く感謝いたします。

 6日は、飛鳥資料館の秋期特別展「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」に関連した講演会でした。
 両槻会ではお馴染みの明日香村教育委員会 相原嘉之先生の「飛鳥考古学の軌跡-調査研究と保護の歩み-」と題された講演があり、平安時代末期に書かれた『今昔物語』の「石の鬼形」から最新の発掘調査まで、飛鳥の遺跡・遺物の発見や研究と、保護・保存の歴史が語られました。これまでの「飛鳥考古学の軌跡」を8時期に区分をされて、それぞれにキャッチフレーズを付けられていました。この辺りが分かりやすいですね。

 1期:1702~1912年「黙する猿石たち」、2期:1913~1932年「発掘調査と文化財保護の始まり」と続き、8期:2001年~「新世紀の飛鳥考古学」で結ばれました。石舞台や飛鳥寺の発掘調査や高松塚古墳の壁画発見という画期のお話もあり、風人は、それぞれの時点での係わりが思い出され、懐かしく飛鳥と自分を振り返る機会にもなりました。

 後半は、明日香村文化財顧問で、東京学芸大学の特任教授でいらっしゃる木下正史先生の「飛鳥発掘前夜-その成果に学ぶ-」と題されたお話した。飛鳥資料館特別展の展示品や関連する遺跡を中心にして、裏話を含めた大変面白いお話に時の経つのも忘れて聞き入りました。現在の発掘調査の成果の多くは、インターネットでも閲覧できるようになって来ましたが、古い調査の遺構図や現場写真を見る機会は少なく、先生がパワーポイントで映される数々の資料は、実に興味深いものでした。

 第29回定例会の事前散策は、飛鳥資料館の特別展に関連したウォーキングを企画しましたが、その案内や資料作成に、大いに役立ったのであります。すこしばかり刺激を受けすぎて、資料を追記したくなっているのですが、どこまで書き加えることが出来るでしょうか。(^^ゞ 配布資料や公開資料を楽しみにお待ちください。



【7】 「色づきはじめた紅葉と奥飛鳥巡り」         (11.11.25.発行 Vol.120に掲載)

 暖かかった秋も漸く冬へのステップを踏み始めたのか、ここにきて晩秋の気温が続いています。皆さん、風邪などひかれませんように。

 飛鳥周辺では、多武峰や少し離れますが高取城址の紅葉が始まりました。風人は23日に多武峰談山神社を訪ねたのですが、色づき始めていました。

多武峰談山神社

 明日香村内では、これから中尾山古墳周辺が綺麗ですよ。皆さんも是非足を運んでいただければと思います。多武峰や高取城址からは、飛鳥中心部へのウォーキングコースもありますので、チャレンジされるのも良いのではないでしょうか。両槻会サイト内に、参考にしていただけるマップやデータがありますので活用してください。

 この数週間、発掘現地説明会が毎週末のように行われています。この120号の発行翌日にも、明日香村の発掘調査報告会があります。またその翌日には飛鳥寺西方遺跡の現地見学会がありますので、週末は大忙しになりそうですね。24日夜よりその発掘成果が報道され始めました。
 飛鳥寺西方遺跡は、歴史上有名な「槻の樹の広場」だとされている場所ですので、その成果が大いに注目されますね。

 今回の調査では、初めて東西に延びる石組溝(14m分、幅約90cm、深さ10cm)が検出されました。また、その北側に平行する石列まで礫敷きが確認されることなどから、広場の南限とも考えられるようです。今回の調査では、これまでに検出された南北溝の延長の溝も検出されており、溝の総延長が130mに及ぶことが分かりました。槻の樹の広場の規模が分かり始めましたね。歴史の大きな舞台が目の前に出現しています。皆さんも、報告会・見学会に是非ご参加ください。


飛鳥寺西方遺跡 遺跡概要図

 さて、第29回定例会も無事に終了しました。参加の皆さん、ありがとうございました。事務局では、当日の様子をレポートとして両槻会サイトに掲載しました。今回は、サポートスタッフのyukaさんが担当してくれました。詳細なレポートになっていますので、是非お読みください。また、当日の配布資料をアレンジしてページを作っています。こちらも、ご覧いただければ幸いです。
 第29回定例会レポート
 第29回定例会ネット版資料

 10月頃から、土日ごとに天候が崩れます。おそらく晴れたのは、両槻会定例会の12日土曜日と翌日だけだったように思います。事務局では、特別回として企画しました「奥飛鳥滝巡り」の準備を進めているのですが、お天気が今から気になります。奥飛鳥の水辺を訪ねる企画ですので、雨が降れば予定を大幅に変更しなければなりません。水神・竜神・雨乞いなどがキーワードになるウォーキングですので、雨が漏れなく付いてくるのは仕方ないかもしれませんね。(笑) 充分な対策を練って、準備を進めたいと思います。

 風人は、その一環として、19日にも奥飛鳥栢森集落を訪ねました。この日は大雨になったのですが、雨の中でも楽しく一日を過ごしました。雨もまた良し♪ 飛鳥資料館のイベントとして開催された奥飛鳥行でしたが、究極の雨男さん(腰痛学芸員N先生)が担当をされたので、またまた大雨になったのです。(^^ヾ しかし、その分、参加の皆さんと歓談も出来たり、ボランティアガイドさんの解説をじっくり聞けたり、栢森の農家の構造を見せていただいたり、様々に楽しむことができました。



【8】 「奥飛鳥滝巡り」                  (11.12.9.発行 Vol.121に掲載)

 皆さんは、紅葉狩りを楽しまれましたか。そろそろ、散紅葉になっているところも増えてきましたね。先日(3日)実施しました「奥飛鳥滝巡り」でも、渓谷には赤く色づいた紅葉がたくさん散っていました。しかし、栢森付近では今が盛りとばかり色付いたものもありました。読者の皆さんにも、奥飛鳥の紅葉を写真でご紹介したいと思っています。
 特別回の参加者が撮られた写真を投稿していただき、「奥飛鳥写真集」として両槻会サイト内にページを作成しています。是非、ご覧ください。
 そして、良い所だなぁ~と思っていただければ、あまり知られていない奥飛鳥のさらに奥ですが、栢森までは金かめバスもありますので、是非、実際に足を延ばして訪ねてみてください。ただ、滝に接近するには足場が悪い所が多いので、充分にお気を付け下さい。

 飛鳥では先週末、飛鳥京跡苑池遺跡で発掘現地説明会が行われました。南池の東岸の様子が分かってきたようですね。特別回と日程が重なってしまいましたので、現説には遅れてしまったのですが、実際の風景の中で遺構をじっくりと見学することができ、参加者の足を急がせた甲斐がありました。おかげで予定歩行距離が3kmばかり長くなり、風人で27,532歩、17.89kmになってしまいました。参加者の皆さんの筋肉痛が心配です。(笑)説明が聞けなかったのが残念だったのですが、それを察してか、あい坊先生が解説記事を書いてくださいました。飛鳥・藤原地域の発掘成果を、今号でもまた速報でお届けすることが出来ました。あい坊先生には、いつもお世話になりありがとうございます。この場を借りまして、お礼を申し上げます。皆さん、是非特別寄稿をお読みください。

 さて、事務局は、第30回の準備も本格的に開始しております。演題や講演概要も発表しておりますので、お知らせのコーナーをご覧ください。また、講演内容に即した散策も企画しております。次回は真冬ということもあり、坂田寺跡だけを集中的にご案内することにしています。講演会と合わせて、お楽しみいただければと思います。講師は、前奈文研所長(現奈良県立大学特任教授)の田辺征夫先生をお招きしております。先生の幅広い知識と巧みなお話しぶりを聴講された方も多いのではないかと思いますが、両槻会主催講演会では、その田辺先生が飛鳥ネタでお話をしてくださいます。今までご参加いただけなかった皆さんも、この機会に是非ご参加ください。申込をお待ちしております。(第30回定例会は終了しています。)



【9】 「長安寺薬師堂」                  (11.12.23.発行 Vol.122に掲載)

 今年も残すところ8日ですね。押し詰まってきました。ジングルベルを聞くと、ますます慌ただしさが増すような気がしてなりません。
 そんな中ですが、本日、風人は第31回定例会の下見に出かけております。(^^ゞ 1月の第30回定例会で、予定を発表したいと考えているためです。せめて、冬晴れの中で下見をしたいと思うのですが、今日はどのような天気になっているでしょうね。(笑)

 特別回の奥飛鳥滝巡りを終え、参加者レポートや写真集を掲載することできた10日、久しぶりにフリーウォーキングに出かけました。今号の時遊録は、そのウォーキングをレポ―トしたいと思います。

 この秋に、万葉文化館で行われた「大飛鳥展」でのことでした。時遊録でも観覧記として記事を書きましたので、中には覚えておられる方もいらっしゃると思います。繰り返しになりますが、展示品では、法隆寺の国宝「夢違観音像」や野中寺の「弥勒菩薩半跏像」、粟原寺の「三重塔伏鉢」などが印象に残りました。しかし風人が特に注目したのは、明日香村指定文化財の長安寺薬師堂の薬師如来像や四天王立像、また鎌足像でした。
 実は、飛鳥通を自認する風人が、長安寺薬師堂というお寺に記憶が無かったというショックもあったのです。観覧後、早速、万葉文化館の案内コーナーで情報を得たのですが、実際に行ってみるには簡単に時間が取れず、悔しい思いをしていました。10日、漸くその機会が訪れました。

 場所は調べて、見当がつきました。明日香村の大字「上」は、「かむら」と読みます。おそらく「かみむら」の転訛だと思われますが、その上には、談山神社からのハイキング道を下りきった所にある「気都和既(きつわき)神社」があり、ガイドブックにも掲載されるようになりましたので、乙巳の変に関連する伝承がある「もうこの森」と共に知る人も増えたように思います。

 長安寺薬師堂は、その上集落の上方(北)に在り、多武峰に繋がる新道の高架橋の先から山中に入って行きます。少し進むと山寺の風情をもったお堂が木の間越しに見えてきます。

薬師堂

 このお堂に、件の薬師如来が祀られています。明日香村HPの文化財情報によると、如来像は像高87.0cmの桧材の一木造り(両肩と膝前は別材)だそうです。造立は、平安時代中期ごろだとされています。お堂を覗いても、残念ながらご本尊を見ることは出来ません。また、四天王立像も明日香村の文化財に指定されているのですが、4体共に一木造りで、像高は各90.0cmほどのお姿です。これらは、本尊の薬師如来と同時代のものとされています。

 ここだったのか!とほっと一息入れた時です。どうも周辺に違和感を覚えました。原因は、境内に転がっている石でした。人為的に加工が加えられているような石が乱雑に転がっているのです。


  かつてお寺があった時の礎石などかなと思いましたが、どうも角張すぎています。飛鳥辺りでは結構見かける古墳石材の転用石か?そのようなことを思いながら、お堂の上の不動の滝まで行ってみることにしました。山肌の岩盤が切り崩されて、放置されているようにも見えます。


 細川谷の東奥になる場所ですので、古墳に用いる石材の採石場なのでしょうか?その場所は、薬師堂の行場になっており、細い滝が流れていました。

 岩肌には不動明王の磨崖仏があり、信仰の場であることは間違いないように思うのですが、やはり石切場のような雰囲気も感じる不思議な空間です。確証はありませんが、風人は、古墳の石切り場のように思いました。

 こういうウォーキングは、血が騒ぎます。しかし、ここから先を展開させることが出来ないのが辛い所です。今のところ、参考になるような資料を見つけることが出来ません。何かわかれば、また続編を書きたいと思います。

 前号発行からの2週間に、下ツ道側溝の発見や磐余池か?と話題になった古代の池堤が検出されました。書くネタは尽きないのですが、身体も頭も一つしかないのが残念です。(^^ゞ



【10】 「年末のご挨拶」                  (11.12.29.発行 Vol.123に掲載)

 2011年も残すところ2日になりました。この一年、飛鳥遊訪マガジンをご愛読くださいまして有難うございました。年末に際しまして、読者の皆様に篤く御礼申し上げます。

 皆さんにとりまして、この一年はどのような年であったでしょうか。春先に起こりました未曾有の大震災や大津波、またそれに伴って発生した放射能への恐怖や影響が未だ癒えずにいます。全ての人々が、苦難に立ち向かわざるを得ない年になってしまいました。被害に遭われました方々に、改めてお見舞いを申し上げると共に、お亡くなりになりました方々に哀悼の意を表したいと思います。
 振り返れば、両槻会3月定例会の開催を真剣に悩んだことが思い出されます。参加者の方々からは、事務局からの呼びかけに応えて、たくさんの義捐金や文化財レスキュー事業へのご協力をいただきました。感謝を申し上げます。

 そのような一年ではありましたが、両槻会では、定例会活動や飛鳥遊訪マガジンを通しまして、少しでも心温まる交流が出来ればとスタッフ一同奮闘してまいりました。 
 飛鳥遊訪マガジンには、飛鳥に所縁を持たれるたくさんの先生方からご寄稿・ご投稿をいただきました。アマチュアの小さなサークルである私達には、過ぎたる紙面作りが出来たのではないかと思っております。
 お忙しい中、執筆くださった先生方には、感謝の言葉もありません。先生方の記事に負けないように、読者の皆さんに支えられながら、スタッフの記事も更なる充実を図って行ければと考えております。

 両槻会は、ご支援くださいます先生方と皆様のお陰で、この一年の活動の全てを無事終えることが出来ました。本年も6回の定例会と1回の特別回定例会を、無事に実施することが出来ました。ご参加くださいました皆さん、ありがとうございました。一つ一つの回を丁寧に催して行きたいと思っているのですが、如何せんスタッフの人数や余暇時間に限りがあります。至らぬ点も多々あったと思いますが、それを反省点として来年からの運営に生かして行ければと思っております。

 2012年は、3回の講演会と2回のウォーキング、そして講演と野外 イベントをミックスした新しい試みにチャレンジする予定です。どこまで力が及ぶかは分かりませんが、精一杯取り組んで行ければと思っています。読者の皆様にも一層のご支援を下さいますように、お願い申し上げます。

  皆様、良い年をお迎えください♪

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「2011年 両槻会定例会 報告」

 本年は、第24回定例会「飛鳥をめぐる山の信仰」に始まる合計6回の定例会と「奥飛鳥滝巡り」と題した特別回を開催しました。定例会・特別回には延べ160名の方がご参加くださいました。ありがとうございました。
 近畿エリア以外から参加していただいた方々も数多く居られ、中には定例会に合わせて予定を組んでくださる方々もいらっしゃり、飛鳥というキーワードが繋ぐご縁の不思議を今更ながらに感じることもありました。飛鳥遊訪マガジンでも、遠方の方々にもご愛読をいただけているようです。いつか読者の皆さんにも、お会い出来る機会がありますことを願っております。


【2011年実施定例会一覧】

  1月 8日 第24回定例会 「飛鳥をめぐる山の信仰」
         講師:大西貴夫先生

  3月20日 第25回定例会 「飛鳥と万葉集」
         講師:井上さやか先生

  5月14日 第26回定例会 「西飛鳥古墳めぐり2と紀路を歩く」

  7月 9日 第27回定例会 「嶋宮をめぐる諸問題」 
         講師:相原嘉之先生

  9月23日 第28回定例会 「埋もれた古代を訪ねる2と飛鳥光の回廊参加」 

 11月12日 第29回定例会 「飛鳥と東アジアの情勢」
         講師:アジク先生 

 12月 3日 特別回 「奥飛鳥の滝巡り」

  各定例会の資料・レポートは、両槻会サイトの「飛鳥路アーカイブ」または「活動記録」からご覧いただけます。

  飛鳥路アーカイブ
  両槻会活動記録

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 2012年、両槻会では、第30回から始まる合計6回の定例会を予定しています。日時や内容などの詳細につきましては、随時両槻会サイトやブログ、この飛鳥遊訪マガジン上でご案内していきます。お楽しみに♪

【2012年定例会予定】

 第30回定例会 1月14日(土) 主催講演会(共催:飛鳥資料館)
  「仏教伝来の頃の飛鳥」
    講師:奈良文化財研究所 前所長 田辺征夫先生

 第31回定例会 3月3日(土)(予定) ウォーキング
  「飛鳥展望散歩 2」

 第32回定例会 5月 主催講演会
  演題:未定
    講師:帝塚山大学 名誉教授 森郁夫先生

 第33回定例会 7月 主催講演会
  演題:未定
    講師:帝塚山大学 准教授 清水昭博先生

 第34回定例会 9月22日(土) トーク&ウォークと飛鳥光の回廊
  「飛鳥と写真(仮題)」
    講師:奈良文化財研究所 企画調整部写真室 栗山雅夫先生

 第35回定例会 11月10日(予定) ウォーキング
  「未 定」

 講演会は、両槻会らしい暖かな雰囲気と、先生方に熱く語っていただける会になるように努力して行きたいと思っています。また、講演会の内容に即した事前散策は、両槻会主催講演会ならではの企画だと思いますので、これからも続けて行きたいと考えています。

 どうぞ、来年の定例会もご期待ください。ご参加をお待ちしております。

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【2010年 飛鳥の考古学の動向】   (日付は新聞報道日)

  飛鳥遊訪マガジンでは、飛鳥に関わる現地説明会やニュースなどを出来
 る限りご紹介してきました。2011年の締めくくりとし、「2011年
  飛鳥の考古学の動向」と題し、この一年の主だった動きをリストアップ
 してみました。中には、両槻会にご縁のある先生方が関わっておられるも
 のもあります。

  また、ほんの一部ですが、公開されている発掘調査などの資料ページと 
 飛鳥遊訪マガジンに頂いた特別寄稿などのリンク先を再掲しました。現地
 説明会の現場へ、当日足を運ぶことはなかなか難しいものです。参加出来
 なかった方や資料をご覧になれなかった方もたくさんいらっしゃると思い
 ます。
  年末年始、ほっと一息つかれるときに、気になっていた遺跡の資料など
 捲られてみてはいかがでしょう。

  下記では、皆さんの記憶を喚起しやすいと思い、あえて新聞報道の見出
 しをリストアップしています。中には、センセーショナルなタイトルとな
 り、本来の遺跡の意味づけや発表内容にそぐわないタイトルや記事も多か
 ったように思います。アマチュアが接する情報には限りがありますが、し
 っかりとした目を持ってこれらの報道を見つめて行きたいと思います。


≪2011年 飛鳥の考古学の動向≫(日付は新聞報道日)::::::

【1月】
 10日 「音義木簡」49文字解読・北大津遺跡(1973年度出土)
 20日 奈良・飛鳥京跡で石敷きと塀跡を発見 計画的整備裏付け・飛鳥京跡第167次
 21日 奈良・纒向遺跡から山海の幸、祭祀の供物で並べられたか

【2月】
  2日 天武帝が遊んだ庭園、規模うかがわせる発見・飛鳥京跡苑池遺跡
  9日 蘇我入鹿も通ったか・・・飛鳥寺の参道跡発見・飛鳥寺南方及び西方遺跡
 11日 古墳のひつぎに絹使用を確認・牽牛子塚古墳
 19日 水辺の祭祀空間か 飛鳥京跡苑池護岸に石段・飛鳥京跡苑池遺跡
 24日 法隆寺「初代」の若草伽藍か 新たに壁画片350点
 25日 宝幢跡と東限の塀跡出土・中宮寺跡

【4月】
  6日 石敷き道路跡が出土。飛鳥の幹線道路?・水落遺跡
  7日 有間皇子の宮殿は橿原に 

【5月】
 24日 縄文のクワガタ、ほぼ完全な形・秋津遺跡

【6月】
 10日 銅鏡の破片 100年経て接合・津堂城山古墳
 13日 奈良・桜井茶臼山古墳に2つの副室
 17日 1300年前の馬も過労だった!?・藤原宮跡
 28日 航空レーザー測量、未知の前方後円墳見つけた・新沢千塚古墳群

【7月】
 13日 2800年前の翡翠の管玉発見・秋津遺跡
 13日 「せん仏」納めた穴の大きさが判明・川原寺裏山遺跡
 23日 藤原宮の瓦を湖国も製作・石山国分遺跡

【8月】
  3日 6世紀の渡来系氏族の墓か・与楽鑵子塚古墳
 18日 泊瀬斎宮の一部か?・脇本遺跡
 24日 居住と祭儀の空間分ける 4世紀前半の遺構確認・秋津遺跡
 31日 東西規模は30.6m 東辺示す石の並び・菖蒲池古墳

【10月】
 20日 東大寺や興福寺の瓦生産示す遺構か・荒池瓦窯跡
 26日 外国使節迎えた「羅城門」両脇は立派な築地塀?

【11月】
  3日 建物跡5棟確認 造営の仮設事務所か・藤原宮跡
  8日 弥生前期の水田跡、国内最大規模に・中西遺跡
 17日 最大規模の鉄鍛冶工房跡が出土・平城宮跡
 22日 “一等地”に下級役人宅が!?・平城京跡
 25日 「槻の樹の広場」南端?石組み溝確認・飛鳥寺西方遺跡
 29日 巨石積み上げガーデニング 飛鳥時代の庭園跡から発掘・飛鳥京跡苑池

【12月】
 13日 藤原京と平城京を結ぶ古代の「国道1号線」 過去最長183m出土
 15日 「磐余池」か 奈良・橿原で6世紀の堤跡見つかる

    
≪資料編≫:::::::::::::::::::::::::::::

【1月】
 「飛鳥京跡第 167 次発掘調査の概要」報道発表資料

【2月】
 「史跡・名勝飛鳥京跡苑池第5次調査(飛鳥京跡第169次)調査」 現地説明会資料
  http://www.kashikoken.jp/from-site/2010/enchi5.pdf
 「飛鳥寺南方及び西方遺跡(飛鳥京跡第 168次)」報道発表資料
 「7世紀木簡雑感」(*)
 「平成22年度飛鳥資料館冬期企画展のご紹介」(*)
 「飛鳥の名勝庭園 飛鳥京跡苑池 -飛鳥京跡苑池の発掘調査から-」(*)
 「ある日の明日香」(*)

【3月】
 「1300年前の人々の心」(*)
 「特別陳列 埴輪のはじまり─大和の特殊器台とその背景─ のご案内」(*)

【4月】
 「水落遺跡の調査-第165次」(#)
 「水落遺跡の調査-第165次(図版)」(#) 

【5月】
 「秋津遺跡第4次調査 下層出土のノコギリクワガタに関する概要」報道発表資料
 「飛鳥で最も高い建物は?」(*)

【6月】
 「新沢千塚古墳群赤色立体地図の作成」報道発表資料
 「嶋宮をめぐる諸問題 -第27回定例会に向けて-」(*)
 「藤原宮造営期の馬の骨に認められる骨病変」(#)
 
【7月】
 「秋津遺跡第4次調査下層 縄文時代管玉」報道発表資料

【8月】
 「脇本遺跡第17次調査」現地説明会資料 

 「秋津遺跡第5次調査」 現地説明会資料

【9月】
 「菖蒲池古墳範囲確認調査」現地説明会資料
 「飛鳥資料館ナイトミュージアムガーデンのおさそい」(*)

【10月】
 「名勝奈良公園・荒池瓦窯跡発掘調査」報道発表資料
 「平城京羅城門発掘調査」報道発表資料

【11月】
 「藤原京朝堂院朝庭の発掘調査(飛鳥藤原第169次調査)」現地説明会資料(#)
 「藤原宮下層の運河とその支流 ―藤原宮朝堂院朝庭の調査から―」(*)
 「中西遺跡第18次調査」 現地説明会資料
 「平城京跡左京三条一坊一坪の発掘調査(平城486次調査)」現地説明会資料(#)
 「平城京左京三条二坊十一~十四坪の発掘調査」現地説明会資料
 「明日香村発掘調査報告会 2011」当日配布資料
 「明日香村の文化財(17) 飛鳥寺西方遺跡」

【12月】
 「 史跡・名勝 飛鳥京跡苑池第6次調査」現地説明会資料
 「苑池から見える風景-飛鳥京跡苑池の調査から-」(*)
 「大藤原京左京五条八坊の調査」現地見学会資料
 「下ツ道(八条北遺跡)」現地説明会資料

 (#)は、奈良文化財研究所の学術情報リポジトリページ。リンク先の 「本文をダウンロード」をクリックでPDFファイルが開きます。
 (*)は、飛鳥遊訪マガジンに頂いた寄稿、飛鳥遊訪文庫にリンク。





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